2018年8月12日日曜日

清らかな教会家具たち

皆さんは教会と言われた時、どんなことをイメージするでしょうか。

本来教会とは、文字通り、キリストの教えを信じる人々の集会を意味していました。
ですが、今では信者たちが集い祈りを捧げる場所という意味合いの方が強いと思います。

アンティークにはそんな教会で使われていた家具が存在します。

№3715 チャーチチェア




















こちらはエルム材でできたチェアですが、一つ大きな特徴があります。
それは、背もたれの裏側にあるこのスペース。

このスペース何に使われていたかわかるでしょうか。
そう、教会必須のアイテムである聖書です。


教会では、聖書を読むまた学ぶ時間がありますが、それ以外の聖書を使わない時にはこのバックのスペースに聖書をしまっておきます。

お祈りの時、讃美歌を歌う時、神父さんや牧師さんからのメッセージ聴く時。
その間手で持っていたり、膝や座面に置いておくこともできますが、このチェアであれば便利に収納できます。


2がけのチャーチベンチもあります。
こちらの方がより教会で使われているイメージがあるような気がします。
教会で複数列に配置されたチャーチベンチがずらりと祭壇に向けて並んでいる様は、いつ見ても壮観です。
№9878 チャーチベンチ







そんな教会で使われていたチェアやベンチたち。
これらの家具は教会での自らの役目を終えましたが、置かれていた教会の当時の清らかな気をその身に宿し、私たちのもとへと届けてくれるような気がします。

by A

2018年8月10日金曜日

バルーンバックチェアとは


今日は優美なフォルムが特徴のバルーンバックチェアについて取り上げたいと思います。

№4398 バルーンバックチェア

バルーンとは、英語で気球もしくは風船を指します。わざわざ説明するまでもないかもしれませんが、背もたれが気球の形をしているため、このような名称が付きました。

ヴィクトリアン時代には、ヴィクトリアン様式として、ロココやゴシック、ルネサンスといった過去に流行した様式のリバイバルが起こり、折衷的に用いられました。そのため、あまりデザインとして真新しいものはありません。オリジナリティ溢れるデザインの最盛期は、ジョージアンでした。

バルーンバックチェアは例外で、ヴィクトリアン中期に作られ始めた比較的新しいデザインの家具になります。

さて、せっかく前回王朝とその時代の君主のお話をしましたので、ヴィクトリア女王が属するハノーヴァー朝の系譜を入れておきますね。ちょっと参考にしてみてください。

<ハノーヴァー朝>18~19世紀
ジョージ1世
ジョージ2世
ジョージ3世
ジョージ4世
ウィリアム4世
ヴィクトリア女王

№9624 バルーンバックチェア



バルーンバックチェアは通常のチェアと異なり、背骨をダイレクトに支えてくれる中央の背板がありません。バルーンバックチェアは、実用性よりもその優美なフォルムを優先したデザインなのです。当時バルーンバックチェアは、応接間や客間でメインに使用されていました。応接間や客間はお客様をもてなす場。そのような場で使われる家具は、優美で上品なものでなければなりません。装飾性を重視するのは当然のこと。

実際問題、中央の背板がない分、長時間使用すると疲れてしまいそうと不安に感じられる方もいらっしゃるかもしれません。ですが実際に座ってみると、予想外に背中にフィットします。バルーン形の背もたれ全体が内側に緩やかにカーブしていますので、背中を優しく包み込んでくれますし、バルーンの下部のレールが背骨のもう一点の支えになります。

№4379 バルーンバックチェア

ホールチェアとして活用してもよし。ティールームに置いてもよし。ダイニングチェアとして使ってもよし。気品漂うバルーンバックチェアは、お部屋をワングレードアップさせるのに一役買ってくれることでしょう。

by A

2018年8月7日火曜日

フロアランプを探して…その1

こんにちは。

久しぶりの涼しい雨にほっとするような物足りないような?気分です。
寒暖の差がこれだけ激しいと体調管理にはなお慎重にならないといけません。
台風が関東を直撃するとかで、明日明後日も通勤など心配ですね。
台風情報はこまめに要チェックを。

このところの暑さのせいで冷房をきかせた部屋で過ごすことが多くなりがちです。
長時間過ごす同じ空間でも、昼間から変化するのは夜に様々なライトを灯した時。
気分転換で間接照明を変えるにも、ウォールランプは配線工事が大変だし、テーブルランプをちょっとばかり移動してもたいして変化なしだし、と。

それでは、リビングやベッドルームの雰囲気をちょっと変えたいときの便利なアイテムとして「フロアランプ」などいかがでしょうか?


例えばこれは直径が39cmある大型のシェードが存在感バツグンの
ミューラーのフロアランプです。

No.0212 ミューラーフロアランプ






シェードはいかにもミューラーらしい色味、異色溶かし込みのガラス。
支柱のアイアンも厚みがあり、繊細な打ち込みがされてとても見事です!


 


ガラスシェードの側部に
エナメル彩サイン入り。





そしてこんなエレガントな淡いピンク色のシェードで
とても女性らしいフロアランプはどうでしょう♪
見た目の可愛らしさのわりにはどっしりと安定して重い脚線美なんですよ。

No.9799 フロアランプ

真鍮製でめずらしく凝ったデザインの支柱でしょう?








 


部屋のコーナーやベッドサイドにポンと置くだけで、それは素敵なアクセントに。。。
邪魔にはならない家具をひとつ増やしたくらいの?価値がありますよね。


デザインやサイズや予算などからいざ探し始めてみると
これが意外とピッタリのものにはなかなか出会えないものなんです。

もっとシンプルで軽くて移動が簡単なフロアランプをお探しの方は・・・
次回のブログ(その2)をどうぞお楽しみに…!

さあ、あなただけのお気に入りのフロアランプを見つけにいらっしゃいませんか。

by K


2018年8月5日日曜日

ベントウッドチェアとは

ベントウッドチェア(Bentwood chair)とは、曲木椅子のことです。
蒸気で柔らかくした木材を型に入れて成形します。


曲木技術がなかったころ、曲線を描く木材を入手するためには、板から直接その形に木材を切り出す以外の方法がありませんでした。その方法であると、残った部分の無駄が大きい上に木材の繊維を断ってしまうので、あまり丈夫とは言えません。

そうした問題を解決したのが、曲木の技術でした。
曲木の技術を考案したのは、かの有名なミヒャエル・トーネットです。
彼は19世紀半ばにこの曲木技術を完成させ、特許を取得しました。

トーネットが生きた時代では、木材は直線的な素材という考えが支配的でした。
そうした時代背景の中、トーネットが開発した曲木技術が世間に与えた衝撃は計り知れません。曲木技術でつくられたチェアは、木材そのものが優美な曲線を描く今までにない斬新なデザインでした。

そんなトーネットにとっての大きな転換期の1つが、ウィーンのカフェ「ダウム」の女主人との出会いでした。トーネットはこの女主人からカフェ用のチェアの制作を依頼されます。そして制作した椅子が「No.4」、通称ダウムチェア。

№9921 ベントウッドチェア

くるりと軽快にカールしたハートバック。木材がこれほどまでに優美な曲線を描くことができるなど当初は誰も想像すらしていなかったかもしれません。このカフェ・ダウムの注文に応えて制作した「No.4」のベントウッドチェアは、トーネットにとって初の量産家具となります。このカフェ・ダウムの仕事を皮切りに、トーネット社への制作依頼も増えてゆきました。


そして、トーネット社(Thonet)最大のヒット商品がこの「№14」。

№9882 ベントウッドチェア

その形状からダブルループと呼ばれています。形状は比較的シンプルですが、そのシンプルなフォルムの中にトーネット社の曲木技術の粋が見られます。

またベントウッドチェアにはもう一つ大きな特徴がありました。
それがノックダウン方式です。ノックダウンとは、パーツごとに分解された状態で出荷し、現地の販売店にて組み立てる方式を指します。全ての工程を完了し完全に組み上がったチェアを出荷するのと違い、かさばらないだけではなく、一度に多くのチェアを出荷することができます。

あまりにトーネット社が曲木椅子で有名なため、曲木椅子は全てトーネット社の商品であると思われている節がありますが、そうではありません。

トーネットが取得した曲木技術の特許は、1869年に消滅します。
その後はトーネット社の他に曲木家具市場に参入するライバル会社も現れました。

代表的な会社は、ムンダス社(Mundus)、J.Jコーン社(J&J Kohn)、フィッシェル社です。ですが後には競争の荒波に揉まれ、ムンダス社とJ.Jコーン社は合併し、ムンダスアンドJ.Jコーン社(Mundus and J&J Kohn)となります。

№9905 ベントウッドチェア

ムンダスアンドJ.Jコーン社(Mundus and J&J Kohn)の紙ラベル

ムンダスアンドJ.Jコーン社は、さらにその後トーネット社に吸収されてなくなってしまいます。ムンダスアンドJ.Jコーン社が存在していた期間は非常に短いので、ムンダスアンドJ.Jコーン社製のベントウッドチェアは大変貴重と言えます。

ベントウッドチェアの中には、座面に型押しのあるものや座が籐張りのものもあります。ぜひ自分のお気に入りのベントウッドチェアを見つけてみてくださいね。

by A

2018年8月3日金曜日

サビノの天吊灯セレクション ③

こんにちは。

先週末の台風一過、いかがお過ごしでしたか?
災害レベルの猛暑はまだまだ続いています。
無理は禁物、どうか無事にこの夏を乗り切れますように。。。

冷房で冷やされるばかりでなく、視覚的にも少しでも涼しさを感じたいものですね。
そんな時にクリスタルガラスのシャンデリアなどは正にうってつけのアイテム♪♪

さあ今回、サビノの天吊灯からまた個性的なフォルムのものをご紹介いたします。

いかにもアールデコらしいシンプルで静かな存在感、心を落ち着かせ和ませてくれることは間違いなしなのですが…とにかく先ずはご覧ください。。
No.0425アールデコ天吊灯

ガラス球体のちょうど中心部分にひび割れ補修されたかのような跡が・・・??
いえいえ、元々からこういうデザインのランプなのです!




下のガラスの器に同じガラスの蓋をピタリとかぶせたような作りになっておりまして。
4か所にシルバーの丸いビスがあり、それが中心部分にある電球部分を支える仕組みになっています。

紫陽花、朝顔、牡丹、椿など春から初夏にかけて咲く花々がぎっしりとデザインされ、
一見とてもデコラティブでありながら、透明&乳白色のガラスの巧みなコントラストで
キリリと涼しげな感じを演出しています。





シェードの内側に陽刻サイン入りです。


夕方ようやく日が陰り、暑さも少しは和らいだあたりからの夜の時間が
店内の天吊灯セレクションの見ごろと言えるでしょう。

蛍光灯の仕事モードの明かりに疲れましたら、
どうぞアンティークの芸術的なランプに癒されにいらしてくださいね。
お待ちしております。

by K

2018年7月30日月曜日

【概説】英国王朝史

エリザベス様式、クイーンアン様式、ジョージアン様式、ヴィクトリアン様式…。
アンティークの家具を見ていると、その時代の君主の名前を冠した様式名にぶつかると思います。今回は、一つ一つの様式の特徴を把握する前提として、英国史上どのような王朝が成立していったのか見てゆきたいと思います。



歴代に英国を統治してきた君主の名前と順番を覚えるのは骨が折れます。
なのでまずは大きなカテゴリーとして王朝の名前とその順を把握すると良いと思います。

ノルマン朝(Norman)
プランタジネット朝(Plantagenet)
ランカスター朝(Lancaster)
ヨーク朝(York)
チューダー朝(Tudor)
スチュアート朝(Stuart)
ハノーヴァー朝(Hanover)
ウィンザー朝(Windsor)

一応記憶するための語呂合わせもあります。
英語にはなってしまいますが、

No Plan Like Yours To Study History Wisely

イギリスの学校で子供たちが王朝を覚えるために使っている語呂合わせで、単語1つ1つが歴代王朝の頭文字になっています。

No → Norman
Plan → Plantagenet
Like → Lancaster
Yours → York
To → Tudor
Study → Stuart
History → Hanover
Wisely → Windsor


<チューダー朝の系譜>
ヘンリー7世
ヘンリー8世
エドワード6世
メアリー1世
エリザベス1世

王もしくは女王の名がつく様式の中で一番古いものは、エリザベス様式です。エリザベス1世(1558-1603)はチューダー王朝最後の女王。スペインの無敵艦隊を破ったという話は歴史の授業で1度は習ったのではないでしょうか。生涯結婚することなくその身をイギリスに捧げた女王であるため、ヴィクトリア女王と並んで非常に人気があります。「私はイギリスと結婚した。」という彼女が残した言葉も、もしかしたら聞いたことがあるかもしれません。

エリザベス1世


<スチュアート朝系譜>
ジェームズ1世
チャールズ1世
チャールズ2世
ジェームズ2世
メアリー2世・ウィリアム3世(共同統治)
アン女王


クイーンアン様式のアン女王はスチュアート朝の最後の女王。
彼女の時代に、イングランド王国とスコットランド王国における同君連合体制は終止符を打ち、2つの王国が合同しグレートブリテン王国となりました。

アン女王


<ハノーヴァー朝>
ジョージ1世
ジョージ2世
ジョージ3世
ジョージ4世
ウィリアム4世
ヴィクトリア女王

続くハノーヴァー王朝が家具の黄金時代と言えます。
ハノーヴァー朝初代から4代目まではジョージの名がつく国王が統治します。
ジョージ1世、ジョージ2世、ジョージ3世、ジョージ4世といった具合です。ジョージ1世から4世までの時代に流行した様式はジョージアンスタイルと呼ばれます。正確に言うと、ジョージ4世に関してはリージェンシー様式となりますが。

そしてウィリアム4世の統治時代を経て、時は大英帝国を築き上げたヴィクトリア女王の治世に入ります。

ヴィクトリア女王

ヴィクトリア女王の治世は1837~1901年までの約65年間。現在はエリザベス2世に抜かれてしまいましたが、最も長い在位期間の記録を誇る女王でした。産業革命の恩恵を最大限に受け、英国史上最盛期を迎えました。そんなヴィクトリア女王の時代に流行した様式がヴィクトリアン様式です。

正確に言えば、ハノーヴァー王朝後、1901~1910年までサックス・コバーグ・ゴータ王朝がありますが、この王朝の国王はエドワード7世ただ1人。ですが、エドワーディアン様式として名を残しています。

そして最後に現在も続くウィンザー王朝に入ります。

今回は歴代の王朝と様式に名を残す主要な英国国王と女王を、ざっくりとですが、紹介しました。特に王朝の順序を語呂合わせとともに覚えておくと、様式を順序立てて理解するときに便利ですよ。では。

by A

2018年7月27日金曜日

チッペンデール様式

ジョージアン中期で最も有名な家具デザイナーの1人トーマス・チッペンデール。
アンティーク好きなら一度は聞いたことがある名前ではないでしょうか。

彼を有名にしたのは、何と言っても自身デザインの家具のイラスト本「The Gentleman and Cabinet-Maker's Director」(紳士と家具職人のための指導書)。この本は家具職人たちにとってカタログのような存在となり、富裕層の顧客たちがこの本から好きなデザインを選んで家具の制作をオーダーするというシステムが生まれました。

よく勘違いされますが、「チッペンデールテーブル」、「チッペンデールチェア」というように、チッペンデールと名乗っているからといって、彼が制作した家具であるというわけではありません。現実に彼が制作した家具はほとんど残っていないのです。あくまで彼のデザインに基づいているというだけであって、上記のものを正確にいうならば、チッペンデール"様式"のテーブルであり、チッペンデール"様式"のチェアなのです。

彼がデザインした家具には大きく分けて以下の4つのタイプがあります。
①クイーンアン
②ゴシックリバイバル
③フレンチロココ
④シノワズリ


この中で、よく見かける代表的なデザインはクイーンアンのものです。
そして彼のデザインした家具の中で、最も有名で特徴がわかりやすいチェアを中心にこれからお話を進めてゆきます。

そもそもチッペンデール様式とはクイーンアン様式の変形であり、ガブリオールレッグ(猫脚)、膝や笠木のシェルやアカンサスの彫刻、そして花瓶形の背板といった特徴を引き継いでいます。

まずはチッペンデール様式のもととなったクイーンアン様式のチェアをお見せします。

№4298 クイーンアンチェア

この写真のチェアはまさにクイーンアン様式の特徴を兼ね備えていますね。
背もたれが花瓶のような形をしていて、優雅な曲線を描くガブリオールレッグ、そして笠木と膝の部分にはアカンサスの彫刻があります。

そして次のお写真が本題のチッペンデールチェア。

№4161 チッペンデールチェア


クイーンアン様式のチェアと比較してみていかがでしょうか。
細部まで見なくても全体の雰囲気からして大変似ているような気がしませんでしょうか。

もちろんチッペンデールチェアも独自の特徴を有しています。
まず1つ目が、ボール&クロウと呼ばれる足先です。




ボール&クロウとは、龍の爪が珠を掴んでいる様子をモチーフにした彫刻を指します。古代中国由来であり、神的パワーを持つ龍が財産や知恵の象徴である珠を掴むそのデザインは縁起の良いものとされています。

そしてもう一つはスプラット(背板)の精巧な透かし彫り。
主な彫刻モチーフは渦巻やアカンサス。緩やかなカーブが多様され仕上げられています。

№4004 チッペンデールチェア




№3875 チッペンデールチェア

細かな特徴であればさらにあります。
内側に緩やかにカーブしたサイドレール、中央部が凸形に膨らんだトップレール、台形もしくは四角形の差し込み式の幅広い座面。また、使用される木材がマホガニーであることも特徴の一つです。

チッペンデールの著作には、60種類以上のイスのオリジナルデザインが紹介されています。ぜひ自分のお気に入りのデザインのチッペンデールチェアを見つけてみてください。

by A