2015年11月20日金曜日

ウエストウッドの藤田嗣治作品紹介 No.1

久しぶりのブログ更新となってしまいましたが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。
予告しておりました藤田嗣治の来歴と、ウエストウッドが取り扱う藤田作品についてご紹介いたします。
フジタ作品の紹介は数回に分けてご紹介していきます。
今回は来歴を簡単にご説明いたします。

藤田嗣治(ふじたつぐはる)
1886年‐1968年

日本生まれの画家・彫刻家。晩年はフランスに帰化しクリスチャンとして生きた。洗礼名はレオナール・フジタ。

フランスパリで活躍し、日本画の技法を油彩画に取り入れ独自の表現を追求し、「乳白色の肌」と呼ばれた裸婦画像は絶賛を浴びる。
かの有名なパブロ・ピカソとも親交があった。

初めて渡仏したフジタは、キュビズム・シュールレアリズムなどの自由な絵画表現に衝撃を受け、それまでに培った画風を全て放棄することを決意。
パリでの生活後間もなく世界大戦が勃発し、描いた絵を燃やして暖をとる程生活は貧窮した。戦争が終わるとフジタの絵は少しずつ売れ始め、3ヶ月後には個展を開くまでになる。


『寝室の裸婦キキ』 1922年
背景の漆黒から浮かび上がるように映える「乳白色の肌」で、
このように背景を黒にした作品は他の裸婦像でも多く見られる表現法です。
色を絞ることでより鮮明に女性の肌の美しさが協調されます。
カーテンで仕切られたその空間はまるで劇場の舞台をおもわせ、
”モンパルナスの女王”と呼ばれたキキの独り舞台のようです。

『寝室の裸婦キキ』はセンセーションを巻き起こし、8000フラン以上で買い取られる。
フジタはこの頃「foufou(フランス語でお調子者の意)」と呼ばれ、フランスで知らぬものはいない程であった。

『アッツ島玉砕』 1943年
最期の戦いに全霊をかける日本兵と右下に累々と重なるアメリカ兵を描いています。
戦争の壮絶さを誇張や強調なくリアルに描いています。
この作品からフジタの画力の高さを垣間見ることができます。
フランスで評価された持ち前の作風は封印し、ただただ戦争画としての芸術を追求しています。
戦争を鼓舞したとの理由から戦後批判を受けることになった戦争画の代表作ですが、
兵士たちの悲痛と一緒に、フジタの悲痛も聞こえるようです。
























第二次世界大戦が始まると、フジタは日本に帰ることとなる。日本では戦争画の製作を手がけた。敗戦後戦争画が元で、戦争協力に対して批判が集まり、隠れる様な生活を送った。
追われるようにフランスに戻ったが、かつての友人達はこの世を去っていたり亡命していた。再会を果たしたピカソとは晩年まで交友が続いた。

1955年にはフランス国籍を取得し、57年にはフランス政府から勲章を授与される。59年にカトリックの洗礼を受ける。
フジタは芸術に対して徹底していた。必ず絵を描いてから出かけるなど、努力を惜しまぬ強い意志と純粋さを持っていた。
フジタの筆の速さは周囲から〝単なるアルチザン(技術者)〟と揶揄された。


『niña en el parque(公園のニーナ)』華やかなドレスに身を包み猫を抱く少女です。フジタ作品に多いピラミッド型の構図をとっており、
少女の華奢な体と末広がりのドレスが絵画全体の安定感と存在感を与えています。

自然の緑に薔薇やドレスの赤や橙色を起用し、本来は対角の位置にある色彩をうまく使いこなしています。
少女の顔立ちは、フジタ独特の少女表現が伺えます。
フジタの想像の中に存在する少女が、実在していたかのように描かれています。
冒頭にも述べたように、フジタは「乳白色の肌」による裸婦画像の他に少女と猫を題材にした作品をよく描いていた。戦後フランスに戻ってからの主なテーマとなっていた。
フジタの少女にはいくつか特徴がありる。皆額が広く、吊り目気味で、表情の少ない、よく似た顔立ちをしている。基本的にモデルになった子供は存在しない。子供がいなかったフジタにとって、フジタは「私の画の子供が私の息子なり、娘なりで一番愛した子供だ。」と述べている。激動の時代を生き、孤独ゆえに自身の内面世界へと向かおうとしていたフジタを救ったのは想像上の理想の子供達だったのかもしれない。



不遇とも言える人生を送りながら激動の時代を生き抜いた画家藤田嗣治。
『乳白色の肌』で評価を受けながらも、戦争によって人生を歪められた画家が最後にたどりついたのは、宗教的な精神の救済と自らの内にだけ存在する少女たちでした。
フジタの作品がいまだに人気が高く評価され続けているのは、フジタの様々な感情が絵画から溢れてくるからかもしれません。

11/17から、「FOUJITA」の映画が公開されています。是非この機会にご覧になってみてはいかがでしょうか。
今回の投稿ではフジタの来歴だけとなってしまいましたが、次回はウエストウッドで取り扱う絵画についてご紹介いたします。お楽しみにお待ちください。

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