2018年9月27日木曜日

半世紀の時を越えて…藤田嗣治の作品(後編)

こんばんは。

しばらく秋雨の日々が続くようですね。。。
風疹ウイルスが静かに蔓延しているという話もありますし、秋の花粉症対策にマスクしている人もちらほら見かけます。
季節の変わり目いろいろありますが、夏の疲れなど引きずりませんように・・・。

前回に引き続き、東京都美術館での【没後50年ー藤田嗣治展】に絡んだお話です。

今回の展示会は日本はもとよりフランスを中心とした欧米の主要な美術館の協力を得ていることもあって、初来日となる作品やこれまで紹介されることの少なかった作品も展示されるなど、画業の全貌を展覧するような、まさに「大回顧展」となっておりました。

時系列に沿って「風景画」「肖像画」「裸婦」「宗教画」などのテーマを設けながら、
さらに最新の研究成果等も盛り込まれ、藤田芸術を改めて捉え直そうとする試みまでなされており、まさに盛り沢山な内容です。

展示会場は地下1階から、地上1階、2階へと観て回るように構成されていて、椅子に座って休みながら観ている人も多かったですね。
個人的には音声ガイドに従って効率良くサクサク見て回ったつもりでしたが、
それでも約2時間はたっぷりかかってしまい結構疲れましたー。

これから観に行かれる方で、特にゆっくりじっくり丁寧にご覧になりたい方などは…
どうぞ覚悟して(笑)体調万全で、時間に余裕を持って出かけることをオススメします。。


フジタと言えば「猫」というキーワードは欠かせないものでしょう。
自画像、乳白色の裸婦、少女たちと一緒に描かれている作品が有名ですが、敢えて「猫」だけに焦点を当てた版画シリーズや画文集も人気があります。

ここウエストウッドにある作品からは主に晩年に発表された作品をご紹介します。


No.8286 猫(エスタンプ)

 


猫好きにはたまらない魅力的な作品です…♪


 


ニューヨークでの取材でアメリカ人を喜ばせたフジタのコメント。
『女はまったく猫と同じ。可愛がればおとなしくしているが、そうでなければ引っ掻いたりする。女にヒゲとシッポを付ければそのまま猫になるじゃないですか』
何とも粋でユーモアたっぷりで、優しい人柄が感じられます。


No.8287 猫の親子(エスタンプ)
  



この猫の親子はパリのアポロ社の版画シリーズ「猫十態」でも見られますね。

 


それから70歳を過ぎてカトリックの洗礼を受けてからのリトグラフも2点あります。



No.8136 ヴェールを被った聖母
 






No.8288 母子像
 



2ついずれの作品も 100部限定でサイン入りです。

油彩でありながら、墨を使った水彩画のように見える筆づかいは、日本人であるからこその特権だというフジタのコメントもあるように、とても印象的であり魅力的ですよね。

余談ですが、日本とフランス合作映画「FOUJITA」で俳優のオダギリジョーさんが藤田嗣治を演じたのも話題になりましたね。おかっぱ頭にメガネをかけて猫を抱き上げているショットなんぞは藤田の風貌にそっくりでとてもインパクトがありました。


店内にさり気なく飾られている藤田嗣治の作品は、アンティーク家具の雰囲気をさらに
盛り立ててくれています。。。
ホームページで気になる作品が御座いましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。
スタッフ一同、是非ともご来店もお待ちしております。

by K 


2018年9月23日日曜日

半世紀の時を越えて…藤田嗣治の作品(前編)

こんにちは。

まだ今月中は夏日もあるようですが、ようやく秋の気配が感じられるようになりました。
芸術の秋ともなりますと、様々な展示会や催し物も増えてきますね。
あちこちの美術館めぐりをするのも楽しい季節です。
ということで、先日は東京都美術館へ【没後50年ー藤田嗣治展】を観に行ってきました。

『藤田、上野に還る』と題した記念講演会では、本展の監修者であり長年にわたり藤田を研究して来られた林洋子氏による交友関係やプライベートなどのエピソードも披露されて
楽しく充実したひとときとなりました。

言わずと知れた世界的に有名な画家・藤田嗣治(レオナール・フジタ 1886-1968)。
フランスにおいて最も有名な日本人画家と言えるでしょう。
2018年は藤田がこの世を去ってちょうど50年目になるんですね。

二度の大戦に遭遇、戦争画も描いていたことから日本では”戦争協力者”として批判されたり、
ヨーロッパでの成功に対する嫉妬なども重なったりしたことから…戦後フランスに渡ってからは日本に帰国することはありませんでした。

明治、大正、昭和の時代をエコール・ド・パリの寵児のひとりとして駆け抜けた彼は
晩年にはカトリック教徒となりフランス国籍を取得してスイスで亡くなりました。
まさしく波乱万丈な81年の生涯を生き抜いた芸術家です。


さてここウエストウッドにも実はいくつかの藤田嗣治作品が御座います。
その中から、まずはリトグラフを2点ご紹介させていただきましょう。




No.8210 少女
 



No.8205 子供の情景
 







藤田が70歳前後からは特に「子供」をテーマとする作品が多く見られますね。

 


彼は5度の結婚生活の中で子供はいなかったため、数多くの少女・子供たちの作品に
実在するモデルはなく、あくまでも創作だそうです。
だからなのか顔つきがどれも似ていますよね?
「私の画の子供が私の息子なり娘なりで一番愛したい子供だ」というコメントが残されています。



それから他にもこんな作品がありますよ。



No.8212 四十雀“女流詩人”
 


 これは80部限定でサインが入っているものです。。。

 



更に下のようなエッチングの技法を用いた作品もあります。


No.8211 ”魅せられし河”
 





















藤田嗣治のコレクターの方はもとより、にわかフジタファンを自称する方も
どうぞお店に観にいらしてくださいませ。

スタッフ一同お待ちしております。

by K

2018年9月11日火曜日

ウォールナットのスモールビューロー

こんにちは。

先週の北海道地震の余波は様々まだまだ続いていますね。
遭遇した方々、被害に遭われた方々にはお悔やみ申し上げます。

テレビやネットのニュースから知る電気・ガス・水道などライフラインが壊滅状態という
まさにブラックアウトというその状況には唖然とするばかりでした。

地震発生は決して他人事ではなく、東京にもいつ首都直下型地震が起こっても不思議ではありません。遭遇する様々なパターンを想定して、いざという時の行動を考えておく必要があるのでしょうね。


本日は店長オススメの商品から、1930年代ウォールナットのスモールビューローを
ご紹介したいと思います。

まずは閉じた状態で天板の【縮み杢】の模様をご堪能下さい・・・。
ウォールナットの縮み杢は特に珍重されているんですよ。

No.4201 スモールビューロー


 何とも言えない美しさですよねー。

繊維方向の木目と直交するように現れるこの縮み杢は、風雨による樹木の曲がりや枝の重みで偶然に生まれる模様なのです。
木目が波状に縮んでシワがよったように見える、まさに天然の杢目が活かされたデザイン家具と言えるのではないでしょうか。


使用するときは鍵穴にカギを差し込んで手前に開きます。








すっと伸びたスマートな「ガブリオールレッグ」
特徴的でステキです。。。


 

ご覧の通り、ビューロー内にも小さな引き出し付き、さらに仕切りもあるので
小分けにさまざま整理しやすくてとても便利~♪









正面向かって右の側面にはツマミがついており、
引っ張ってスライドさせると・・・
なんと隠れていた天板が出てくるんです。

使い勝手が多様で面白いですよね。










大げさに書斎は必要ないけれども、ちょっとした自分だけの空間で書き物がしたい時に
これがあれば重宝すること請け合いです。

そして使わない時は鍵をかけて閉じて片付けておけるコンパクトなサイズ。
実はこのスモールビューロー、貴方の大切なプライベートや秘密までをも?さり気なく
守ることが出来るという優れものなんですよ。。。

スタッフ一同、ご来店をお待ちしております。

by K

2018年9月8日土曜日

イギリスと日本の住宅観の違い

やっぱり購入するなら新築住宅が良い。


日本では、中古住宅・マンションより圧倒的に新築の方が人気がありますよね。誰かが以前に一度使っていたなんていうと、やっぱり多少なりとも評価が下がってしまうもの。多くの人ができれば新築住宅に住みたいと思うのではないでしょうか。

ですが、イギリスでは全く事情が変わってきます。新築住宅よりも中古住宅の方が格段に人気があるのです。では一体なぜイギリスでは日本と全く反対の現象が起こるのでしょうか。

何よりも大きい理由が、古いものに対する根本的な考え方の違いです。日本人の多くは、誰かが過去に使ったものに対して、汚れている、ボロボロといった悪い印象を抱きます。さらにそうした古いものを買ったり使ったりしていると、金銭的に余裕がないと思われてしまうこともしばしば。中古という言葉は、これらを含意していると言えます。

一方イギリスでは、誰かに長い間使われてきたもの、長い年月を経てきたものを中古という言葉では表現しません。そうしたものは歴史的価値ある財産として認識されます。自分が購入しようとしている住宅が古ければ古いほどむしろ良いのです。築何十年では歴史はまだ浅い。築年数が百年単位でやっと満足できるレベルに到達します。そのため、新築住宅は日本と真逆であまり好まれないのです。


イギリスと日本の街並みには、それぞれの国の人びとの住宅に対する考え方がよく反映されているように思えます。

また、この住宅に対する考え方の違いは、そのまま内装やインテリアにも反映されます。イギリスのお家には、1つや2つのアンティーク家具があることは全く珍しくありません。裕福な家庭ともなれば、家具は一式アンティークで揃えられていることもあります。それに対して日本の住宅では、ほとんどアンティーク家具を見ることはありません。北欧のビンテージものであれば見受けられますが、ほとんどの場合は現代もので取り揃えられていると思います。

もちろんこうしたイギリスと日本の住宅事情の違いは、古いものに対する考え方の違いだけで一概に説明できるわけではありません。自然災害の多さ等、他にも複数の要因があるのであしからず。

by A

2018年9月4日火曜日

厳選のペア ウォールランプ ~アールヌーボー様式~

こんにちは。

今週もまた台風情報とは…何とも言えない残念な気分ですね。
不要不急の外出は控えるようにとのお達しですから、さすがに店内も静かです。
こんな日はアンティークショップのホームページをじっくりとチェックする
まさに絶好のチャンスではないでしょうか?
ご来店いただく前に、店内にある商品、倉庫に待機させている商品すべてを是非とも
御覧になってみて下さいね。

では今回は異色溶かし込みなど色味のガラスシェードが美しい、エレガントなアールヌーボー様式から、ペアのウォールランプをご紹介してみましょう。


先ずは珍しい「ドーム」の ペア ウォールランプです。

No.0286 ウォールランプ(ドーム)

夕焼けのような淡いオレンジ色が何とも言えない美しさと存在感がありますよね。。

 
 

側部にある陽刻のサインが見えますか?



そして次は「ミューラー」のペアのウオールランプです。

No.0423 ペアウォールランプ(ミューラー)
乳白色とピンクオレンジのグラデーションがなんて可愛らしいシェードなんでしょう!


 


点灯するとふんわりと柔らかい光を放つのです。
真鍮のブラケットのリーフ装飾がまた巧みで素晴らしく・・・まるで果実のようですね。





左写真、シェードにはエナメルのサイン入り。
右写真のブラケット左端にはC.Ranceの銘記がありますよ。



それからこれはちょっと邪道かも?ペアというよりは2灯式なのですが。。。
「シュナイダー」のウォールランプです。
No.0420 ウオールランプ2灯式(シュナイダー)


ダークパープルとクリームのグラデーションカラーが上品な灯りを作ってくれます。


 


真鍮製のブラケットは上部分をよく見ると薔薇がモチーフになっています。
上品でこじんまりとしたサイズなので、さり気なくどこにでもしっくり落ち着きますよ♪










シェード上部には陰刻のサイン入り。












他すべてのウォールランプをホームページでご覧になりましたなら。
是非とも店頭に足を運んで、点灯したところを見ていただけたら…と思います。

スタッフ一同ご来店をお待ちしております。

by K